まちクエスト 運営ブログ

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まちクエストキリ番インタビュー第3回

キリ番エスト No.2000〜
化粧井戸」o_nagayoshiさん 2014年6月4日

キリ番インタビュー第3回、今回は2000個目のクエストを作成された岡本永義(o_nagayoshi)さんにご登場いただきます。岡本さんには以前にも何度かイベントなどでもご登場いただいていますが、改めてまちクエストについてのお話を伺ってみました。

– こんにちは!今回はキリ番インタビューということでよろしくお願いします。 まずは、改めてまちクエストに参加された時期ときっかけから教えてください。

人に勧められたことです。 具体的には散歩かふぇちゃらぽこの店長に勧められました。会うたびに「まちクエストが面白い」と何度も言われるので、始めてみたらそのままハマってしまいました。

– ちゃらぽこさんといえば、“たぶん日本で唯一の「散歩」をテーマにしたカフェ”ですよね。散歩やウォーキング好きな方々が全国から集結するとてもマニアックな貴重な場で、まちクエストとしても足を向けて寝られません(笑)。 岡本さんはそのちゃらぽこさんと「ホントに歩く東海道ウォーク」といったイベントも企画・運営されてますね。

はい。ですので、まちクエストにはそのイベントの前に東海道に関するクエストを作ることが多いです。 この東海道のイベントは今年中に終了しますので、それ以降は気が向いたときに作成することになると思いますが、今年中か、遅くても来年夏ごろまでには京都まで完成させたいと思っています。完成時のクエストの総数は1000は超えるはずですし、クエストラリーの数は55になるはずです。

東海道以外のものは、道を歩いていて気になったものがあったとき、そのときにカメラを持っていたら作成します。私はその場で作成するのではなく、撮った写真を元にして自宅のコンピュータで作成しています。

– 作成クエスト数は230個を超えているので、クエストメーカーとしても既に超ベテランの域ですね。今まで作ったクエストの中でも特に気に入っているものとそのポイントを聞かせてもらえますか?

大坂の庚申塔群』(神奈川県横浜市
これは東海道エストの中の一つです。 東海道を歩いているといろいろなものがありますが、民間信仰である庚申塔が、これだけの大きさの物がこれだけの数集まっているところは珍しいです。 道を歩いているとけっこういろいろなところにある庚申塔に興味をもってもらいたいことと、そこに彫られているものは何か、などということもじっくり見てもらいたくて作ったクエストです。

亀地蔵』(神奈川県横浜市
これも東海道エストの一つです。 東海道沿いでは日本を動かすような事件も起きているのですが、歩いていると地元で起きた小さな事件の痕跡にも無数に出会います。 明治時代のことですが、大きな亀が浜に上がったので「竜宮の遣いだ!」と喜んで酒を飲ませたら亀が死んでしまいました。 この日がちょうど寿命の万年目だったのだと、村人たちは残念がり建てた供養碑が亀地蔵なのですが、このような海沿いの漁村特有の習慣がわかることに加えて、「いや、死んだ理由はそうじゃないよね」というツッコミどころがあるところが面白いところです。

乞田交差点』(東京都多摩市)
おそらく私が作ったクエストの中で正解を出すのが一番難しい問題です。 よく見てよく数えないと正解に至ることができないので気に入っています。

浦島太郎足洗いの井戸』(神奈川県横浜市
よく知られた浦島太郎伝説ですが、神奈川にも浦島太郎伝説が伝わっていることを知っている人は多くないと思います。 そのような忘れられようとしている伝説を知ってもらいたいという思いから作ったクエストですが、東海道沿いにありながら東海道のガイド本にもほとんど載っておらず、また、非常に見つけにくい場所にあることから、まちクエストのレーダー画面を見ながら探すと面白いのではないかと思います。

二子第二架道橋』(東京都世田谷区)
こちらはニコタマエストの一つとして作成したものですが、その場所には比較的すぐに行けるものの、答えが意外なところにあってなかなか見つからない、答えが見つかったときのうれしさが大きいことが気に入っている理由です。

丹後坂』(東京都港区)
これは実際に体を使って数えなければいけないので、答えを出すのに他のクエストよりもちょっとだけ手間がかかるところがおもしろいと思います。

– 写真だけ見ると、どれも日常の見慣れた風景で何も言われなければそのまま通りすぎてしまいそうな場所ですが、実はそんな場所にもストーリーが有るんですね。実際にまわってみると「へぇー」の連続になりそうです。

– こういったクエストを作るときに意識するポイントや工夫している点などはありますか?

実は、その場所に設置されている「説明板」の内容から問題を作るのが一番簡単なのですが、そのような問題ばかりだとマンネリ化してしまうので、実際にそのものをよく見たり、少し歩き回ってみたりという問題を積極的に取り入れるようにしています。 ただ、東海道エストの場合はあらかじめ撮影してあった写真を見ながら作ることも多いので、説明文くらいしか問題を作る材料がないことが多いのが悩みの種です。 それから、東海道エストに関しては、次のクエストとの間がそれほど長くあかないように気をつけています。どんなに間があいても「次のクエストまで歩いて行ってみようかな」と思えるくらいの距離で次を作るといった具合です。

– クエストをまわって歩く人を飽きさせず、更に次へ進んでもらう事も意識しながら作成されてるんですね。そうすると、そこまで色々と工夫を重ねながらもクエストを作成される楽しみってどんな点ですか?

最近は私も含めてほとんどの人が移動に電車や車を利用していますが、それらは確かに早くて便利ですけれども、目で見えてくるものは限られてきてしまうのです。乗り物から降りて実際に自分の足で歩いて見ると、そこには本当にいろいろなものが見えてくるわけです。

私がまちクエストを始めた当初に感じたのは、この「歩くといろいろなものが見えてくる」に則したゲームだということです。私が自分で歩いて見つけた「おもしろいもの」を、他の人たちにも実際に歩いて見つけてもらいたい、歩いて見つける楽しさを多くの人に知ってもらいたいという思いが私にとってクエストを作成する楽しみでしょうか。

– なるほど、ウォークイベントにも通じるところが有りそうですね。では、企画されているイベントの内容について少し聞かせてください。

過去に5回東京から京都までの東海道を歩きまして、今年の春には大津から大阪まで延伸された東海道京街道)も歩いてきました。 先月は6回目に着手しまして、日本橋から歩き始めたところです。 東海道は日本でもっとも古くからある主要街道で、多くの人が通り、たくさんの歴史的事件の舞台ともなっています。そのような東海道ですので、多くの人に東海道文化財的価値と歩く楽しさを知ってもらいたいと思って活動しています。 実際に私が歩いた結果をもって、過去には2回書籍を出版しましたし東海道を歩く面白さを紹介する講座や、実際に東街道を歩くイベント「ホントに歩く東海道ウォーク」のガイドもしてきました。 今後はさらに東海道を歩くイベントも新たに企画したり、今までになかったような詳しいガイド冊子の作成やグッズ販売、インターネットや紙面を利用した情報の発信などをしていこうと考えています。 それになにより、一番大事なのは「東海道エスト」を京都まで完成させることですね!

– 東京〜京都間は約500Kmと距離が長いだけに、各地に残された歴史や発見もたくさん有りそうですね。ガイドブックやまちクエストを片手にぶらっと歩いてみたり、他の方々と一緒にガイドさんの説明を聞きながら歩いても楽しめそうですね。6回目の東海道歩きとあわせて、京都までのクエストもよろしくお願いします!

– ところで、今までに解いたクエストで面白かったものが有れば教えて下さい。

エコステって知ってますか?』(東京都新宿区)
駅の構内にあって電波が届きにくくて場所がわかりづらかったのですが、写真をよく見ているうちに映り込んだヒントに気づいてクエストを発見できたというものです。

お初と徳兵衛が露天神の森へ行く途中に渡った』(大阪府大阪市
土地勘の全くない大阪で見つけたクエストです。雑踏の中にあり、クエストも目立ちにくい場所にありましたので難しかったです。

日本、ポルトガル記念』(東京都中央区
これは地下鉄駅構内の入り組んだ通路にあるので探すのがもっとも難しかったです。 地下鉄の通路という通路を歩いて見つからなかったので、諦めて帰るために改札内に入ったところ、まだ通っていなかった通路を発見し、そこを進んでみると改札外にあるのを見つけたのですが、改札内からでは答えが読み取れずくやしい思いをした思い出があります。

– どちらかと言うとやはり少し苦労して見つけたクエストの方が印象に残りやすいんでしょうか(笑)

– では最後に、今後のまちクエストに期待する点をぜひ聞かせてください。

エストに疎密があるので、まずは疎の部分にもっとクエストが増えてくれることを期待します。 先日町田に行ったのですが、あのような人の集まるところなのにクエストが1つしかありませんでした。 もっと大勢の人がまちクエストを楽しんで、もっと大勢の人が様々な場所にクエストを作ってくれるといいと思います。

– 確かに町田は小田急線やJR横浜線田園都市線も通る人口40万超の街でしたね!今後はクエストの分布状況の把握を進めて、薄いエリアの対策も進めていきたいと思います。今回はいろいろと聞かせて頂いてありがとうございました。

という訳で、東海道を軸に様々な活動をされている岡本さんにお話を伺いました。 皆さんも、身近な街道を一度ぶらっと歩いてみると新しい発見に出会うかもしれませんね!

岡本さんがまちクエストに使用されている『au AllowsZ』
著書『東海道五十三次四百年の歴史をあるく』

インタビュアー:小川 智史 (沖縄在住のデータ収集好きおっさんプログラマー。まちクエスキリ番インタビューシリーズではチャットやSkypeを通して皆さんからお話を伺います!)

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